不動産のいろいろな査定価格 〜売主さんが知っておきたいポイント〜
家や土地を売ろうと思ったとき、まず気になるのが「いくらで売れるの?」という価格。 でも実は、不動産の「査定価格」にはいくつかの種類があって、それぞれ意味合いがちがいます。 ここを理解しておくと、業者選びや価格交渉で後悔しにくくなります。
主な査定価格の種類
① 机上査定(簡易査定) 過去の取引事例や相場データをもとに算出する、スピード重視の査定。 短時間でわかる一方、建物の状態や周辺環境はあまり反映されません。
売主目線の注意点 「とりあえずの目安」には便利だけど、実際の売却価格と差が出ることも。
② 訪問査定(現地査定) 担当者が現地に来て、建物の状態や眺望、日当たりなどをチェックして出す価格。 より実態に近い査定が期待できます。
売主目線の注意点 手間はかかるけれど、信頼できる業者かどうかを見極める機会にもなる。
③ 実勢価格 実際に売買された価格の相場。 市場がどう評価しているかを知るうえでのリアルな参考値です。
売主目線の注意点 「査定価格」より下がることもあるので、過去事例をきちんと確認することが大切。
④ 路線価・固定資産税評価額 税金の計算に使われる公的な価格。 相続や贈与の場面では基準になりますが、売却価格とは必ずしも一致しません。
売主目線の注意点 「公的な数字=売れる価格」ではないことを理解しておく。
業者選びの判断基準
査定根拠の説明があるか? 「なぜこの価格になるのか」を丁寧に説明してくれるかがポイント。
高すぎる価格を提示していないか? 売主の気を引くために相場以上の査定額を出す業者もあります。 → 実際には売れず、時間だけが過ぎて値下げ…という流れに要注意。
販売戦略を示してくれるか? 価格だけでなく、「どう売るか」の提案があるかを見ること。
よくあるトラブル事例
高額査定に飛びついた結果… 相場より2割高い査定を提示されて契約したが、半年たっても売れず、結局は相場より安く値下げして売却。時間もお金もロスに。
査定根拠が不明確 「この価格で売れます」と言われたけど、根拠は“近隣もこのくらい”だけ。売却活動も不透明で、不信感が残った。 机上査定と訪問査定の差
机上査定では3,000万円だったのに、実際に訪問すると建物の老朽化が考慮され2,400万円に。事前に複数業者へ訪問査定を依頼しておけば防げたケース。
まとめ 不動産の査定価格は「一つの正解」ではなく、いくつもの物差しの組み合わせ。 大切なのは価格そのものよりも、その数字をどう説明し、どう売ってくれるかです。 査定額の高さに飛びつくより、根拠のある数字を示してくれる業者を選ぶことが、納得のいく売却につながります。