ケース 相続不動産 前所有者が20年所有 2年前に相続 今年売却
譲渡所得税の注意点
このケースは相続による取得なので、譲渡所得税の計算で大事なポイントがいくつかあります。
1. 所有期間の起算は「被相続人から引き継ぐ」 相続の場合は、所有期間は前所有者(被相続人)が取得した日から通算します。 つまり今回のケースでは、 前所有者が20年所有 → あなたが2年前に相続 → 今年売却 → 通算で22年所有とみなされます。 よって税率は長期譲渡所得(20%)が適用されます。
2. 取得費も被相続人のものを引き継ぐ 「取得費」は被相続人が買ったときの購入価格+諸経費を引き継ぎます。 購入価格が不明な場合は概算取得費(売却額の5%)を使うことになりますが、これは税額が大きくなりやすいので注意。 当時の契約書・領収書が残っていると節税につながります。
3. 特例の活用 被相続人居住用財産の3,000万円特別控除 被相続人が住んでいた家屋やその敷地を、相続開始後3年目の年末までに売却した場合に適用可能(一定条件あり) → 空き家特例とも呼ばれ、相続直後に売る場合は強力な節税策。 相続空き家の特例(最大3,000万円控除) 昭和56年5月31日以前に建築された耐震基準未適合住宅を取り壊して売る場合や、耐震改修後に売る場合など。
4. 譲渡費用の計上漏れに注意 仲介手数料、測量費、建物解体費、登記費用などはすべて譲渡費用に含められます。 証拠資料(領収書や請求書)が必須。
5. 確定申告の注意
相続不動産の売却は分離課税で申告 相続に伴う取得費や特例の適用可否は、税務署が細かくチェックする傾向あり
特例適用には住民票、除票、建物登記簿、取り壊し証明書などが必要な場合あり �
まとめると 今回のケースは長期譲渡所得扱いになり、税率は20%(所得税15%+住民税5%)ですが、 取得費や特例の有無で税額が大きく変わります。