代理契約

「代理契約」という言葉は色々な分野で使われますが、 不動産や契約実務で出てくる場合は、主に「代理権を与えて他者が契約行為を行う」形態を指します。

 

1. 代理契約の概要 代理人が本人の名前で契約を締結できる制度(民法第99条〜第118条)。 代理人が行った契約は、法律上、本人に直接効果が及ぶ。 代理契約書や委任状で代理権の範囲を明示する必要あり。

 

2. 不動産分野での代理契約の例 売買契約の代理:売主や買主が不在の場合、代理人が契約締結 媒介契約の代理:家族や法人の担当者が代理で締結 取引一任代理契約:宅建業法上の特殊な媒介形態(価格・条件を含めて全て任せる)

 

3. 実務でのポイント 代理権の明示 → 委任状に「何を」「どの範囲まで」代理できるか明記 無権代理のリスク → 権限を超えて契約すると無効になる可能性 本人確認 → 宅建業法上、不動産取引では代理人と本人の双方の身元確認が必要 書類準備 → 委任状、印鑑証明書、本人確認書類(運転免許証など)

 

4. 注意点(不動産取引特有) 取引一任代理契約は原則禁止(宅建業法34条の2) 特定の宅建業者が売却価格の決定まで一任される契約は制限されている 例外:国や地方公共団体、信託銀行など 利益相反取引の回避 代理人が本人と相手方の両方を兼ねる(二重代理)は原則禁止 契約不履行時の責任 代理人が権限を逸脱した場合、本人に効果が及ばない

 

5. メリットとデメリット

メリット 本人が立ち会えない場合でも契約可能 専門家(弁護士・不動産業者)に任せられる

デメリット 権限の範囲を曖昧にするとトラブル発生 悪意ある代理人による不利益契約のリスク

2025年09月17日